Research
Recycled Paper Bad for the Environment? Assessing the Effects of Substances Derived from Recycled Paper Ink on Aquatic Organisms

近年SDGsという言葉を耳にする事が多くなり、環境保護の機運もかつてないほど高まっています。
古紙のリサイクルは環境保護のために重要だという事に疑いはありませんよね。日本でも古紙のリサイクル率は8割にも上るという推計もあり、非常に盛んに実施されています。
しかしながら、リサイクルも適切に実施しないとむしろ環境に負荷を与える可能性もあります。近年、古紙のリサイクル過程で抽出されたインク中の成分が工場排水として流出し工場近隣の河川・海洋生物へ悪影響を与える可能性が示唆されています。
そこで、当研究室ではインク由来増感剤成分を対象に分子ドッキングシミュレーションを用いたバーチャルスクリーニングを実施し、スクリーニングを通過した毒性発現候補物質のいくつかをゼブラフィッシュ胚を用いた魚類毒性試験に供試しました。
その結果、レシート等の感熱紙に用いられるベンジル2ナフチルエーテル(Benzyl 2-Naphthyl Ether)がゼブラフィッシュ胚に対しダイオキシン受容体(芳香族炭化水素受容体、AhR)を介した毒性影響と心肥大・催奇形性を生じる事が明らかになりました。
本研究成果を纏めた論文がEnvironmental Toxicology and Chemistry誌に掲載されました。本ジャーナルは環境毒性学・環境化学の世界最大の国際学会であるThe Society of Environmental Toxicology and Chemistry (SETAC)が発行しています。
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本研究成果を第51回日本毒性学会学術年会(2024年7月福岡市開催)で発表した当研究室学部6年生(当時)の孫佳琰さんが学生ポスター賞を受賞しました。
本研究成果を第1回環境化学物質3学会合同大会(2022年6月富山市開催)で発表した当研究室学部6年生(当時)の更田葵依さんがSETAC賞を受賞しました。